宇宙関連巡礼の旅 - Weblog版 - 人工衛星/探査機

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ASTRO-G 開発中止へ

ISAS/JAXAASTRO-G計画が中止との報道が出た。

以前からアンテナ部分の技術的課題を克服しなきゃ実施できない状態になっていたのだが、とうとうギブアップしてしまった格好だ。LUNAR-Aのようにずるずる引きずった上での中止ではないだけマシなのかもしれないが、計画自体を中止するほどのことだったのだろうか、と思う。ASTRO-Gの前、MUSES-B(はるか)の成果は大きかったことを考えると残念で仕方がない。

ASTRO-GのアンテナはETS-VIII(きく8号)のアンテナ技術を応用して開発すれば可能とのことで進んでいたわけで、結果として宇宙電波望遠鏡としての要求精度を満たせなかったということだ。宇宙でのアンテナ展開技術と衛星制御技術はMUSES-B(はるか)とETS-VIII(きく8号)で取得済みなので、アンテナの要求精度というのが最後まで解決できなかったということだろう。
ただ、LUNAR-Aのペネトレーター技術のように予算と時間を与えれば必ず克服できていたと思う。今回の場合はJAXA内の予算の問題と、ASTRO-Gを使って観測しようとしていた研究者の問題双方が中止に追い込んだような気がする。

JAXAの予算は年々縮小傾向。増えたように見える予算も実際のところIGS(情報収集衛星≠偵察衛星)の開発費とISS(国際宇宙ステーション)関連費が含まれるので、実質相当額の縮小になっている。最近決まったQZS(準天頂衛星)追加配備も、別途ちゃんと予算が追加されれば問題ないが、JAXAのの予算でやれとかいいそうな気配がしているので、そうなると宇宙科学に回す予算がほとんど無くなってしまう恐れがあったりする状況では、「課題が解決するまで計画凍結、開発予算だけは出すよ」という方向は難しいのだろなぁ。
また、天文学者にしてみれば、いつ完成して観測ができるか判らないシステムよりも、ALMA望遠鏡のように現在進行形で成果が得られるプロジェクトに傾いていってしまうのは仕方がないことなのかもしれない。

で、今回の問題「展開アンテナ」。ASTRO-G以前はどうだったのかというと、MUSES-B(はるか)から話をすることになる。
いまさら細かい説明は必要ないと思うので割愛しますが、MUSES-B(はるか)は、三菱電機がプライムでアンテナ部分は三菱電機と日本飛行機が設計・製作しています。
何が大変だったかという話は色々ありますが、「展開テストの時は振動と空気の流れが影響するので、夜中に三菱までいって空調も止めて試験してたなぁ」というくらい繊細な調整の末達成できたシロモノである、と。それをやっちゃうのがISASの力というか合併前のISASらしい面目躍如といったところか。

その後、もっと大型化したのがETS-VIII(きく8号)のアンテナ。衛星本体は三菱電機ですが、アンテナに関してはNEC東芝スペースシステムの開発。といっても、実際は日本飛行機が協力しているのでMUSES-B(はるか)のノウハウは継承されているわけです。
この段階で2回の事前テスト(LDREX,LDREX-2)を経て実機に反映、展開と精度を達成しているわけで、ここまでくれば「機構としては完成」したといえる状況になっているわけです。
その機構が完成したのだから、ASTRO-Gでは「要求精度を満たす」ことさえできればゼロからの新規開発に比べて低リスクで開発完了できると思っていたのでしょう。なにせASTRO-Gは衛星本体もNECですから、ハンドリングもしやすかったハズです。
ところが、いざ開発をしてみると要求精度が出せない。要求精度はMUSES-B(はるか)と比べて文字通り"ケタ"違いだったのが最後まで足を引っ張った要因となってしまった。研究者からしてみれば、MUSES-B(はるか)と同等では意味が無いですからね。

中止になったからといって、この技術は「捨てるのは非常にもったいない」と思います。電波望遠鏡だけではなく、深宇宙探査機などに応用できれば、かなり高速な通信も可能なハズですし(衛星本体の制御とか重量とか通信姿勢制御とか問題は多々あるとは思いますが…)、ETS-VIII(きく8号)で実施した災害時通信網も構築など、十分にインフラとして使用できるわけですから。災害時に活用するとかいいながら1枚も画像を公開しないIGSと比べても、どれだけインフラとして活用できることか、と。

なんにせよ、これをキッカケに科学衛星が衰退しないことを願います。


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PLANET-C(あかつき) 軌道投入失敗

もうあちこちでニュースになっているので、特筆する必要はないだろう。PLANET-C(あかつき)が金星軌道への投入に失敗してしまったのだ。

原因究明はこれからだ。現状判明している状況だけでは何が原因だったのか断定するほどの質も量も集まっていない。

マスコミは一番判りやすいスラスタを疑っている。実際にそうだったとしても、現状では犯人とは言えない。
まして、他にも要員となりえることだってたくさんある。それを取得したデーターから犯人を見つけることが今後のために重要なのだ。

とにかく、今は正確な情報を逃さないようにするだけだ。
犯人探しをするのではなく、原因を探してカイゼンするのだ。

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リアクションホイール

『またリアクションホイールか。』

 ニュースが流れた瞬間に、最初に頭に浮かんだ言葉。
「かぐや(SELENE)」も「はやぶさ(MUSES-C)」もリアクションホイール(以下:RW)のトラブルが発生したことは有名な話で、NASAの衛星や探査機でもたびたび話題になるほどの部品だからねぇ。

 基本的に宇宙空間での可動部品は「比較的トラブルが発生しやすい」と考えている。ほぼ真空の空間で確実に動作させるには、潤滑材をいかに蒸発させないかとか、色々なノウハウが必要なんである。「はやぶさ(MUSES-C)」のサンプラーホーンをさっさと伸ばしたのも、この可動部品を確実に動作させるという意味合いが大きい。

 さて、今回のRW不具合は、軸受の潤滑油に不純物が混入していたとのこと。
JAXAからの資料を見ると、QZSS「みちびき」搭載品に関しては同ロットで不具合が出たので交換するということのようですな。色々と言われている海外製品のリアクションホイールだが、製造数が多いこともあり今回のように別製品での不具合から判明したと考えれば、不幸中の幸いだったのではないかと思う。

 じゃぁ国産だったらどうかという話。
国産技術でも製造は可能。三菱プレシジョン製(http://www.mpcnet.co.jp/product/aviation/space/index.html)が代表だろうか。
「いぶき(GOSAT)」には日本精工の軸受が採用されている(http://www.jp.nsk.com/company/presslounge/news/2010/press100217.html)。今のところ壊れてはいないようだが、こういうものは壊れるときは壊れてしまうのでどうしようもない。
 不純物の混入は国産でも起こり得ること。潤滑油の管理が問題であり、ヒューマンエラーは100%回避はできない。可能性を極力排除し、何重にもチェックしているにも関わらず発生することだってあるのだから。

 さらに、国産は海外製品よりも高いという。だいたい2倍ほどの価格差ということだから、複数台使用する衛星や探査機にしてみればかなりのコスト差になってくる。信頼性と採用数を考えても、海外製を選ぶという選択肢は自然な流れだろう。
 ただし、ここまでトラブルが発生し断続的に起こっていることを考えれば、国産というよりも独自開発して安定的に運用できるような形態に変えていかないダメなのではないのか。冗長性だけではなく、壊れないような部品に変えていくことも必要なのだから、高い安いだけで判断するような事にだけはならないような予算配分をして欲しいものです。



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(2010/04/08)
宇宙航空研究開発機構(JAXA)

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PLANET-C『あかつき』 明日打ち上げへ


©JAXA

早いもので、もう明日の早朝にはPLANET-Cあかつき』が打ち上げられる予定だ。
仕事の都合で今回は打ち上げ見学に行くことができなったので、早朝インターネット中継を見ることになるとは思うが、H-IIAでは初の惑星軌道投入ミッションであるのも注目点だが、全衛星・探査機を分離した後にも2段目を使ってりエントリ技術用データーを取得するそうな。よーするに、2段目をデブリにしないように再突入させる技術を確立させようってことだよな。いいねぇ、余裕があるシステムだとこういうこともできるのか。

そんなわけで、今日は早めに寝て早起きしましょう。さすがに電車の関係でJAXAiやISAS相模原には行けないですし…

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愛称の命名

20091016_qzs.jpg
planet-c.jpg
上:準天頂衛星(QZSS)
下:PLANET-C(あかつき) ©JAXA
 来年度打ち上げが予定されている衛星の愛称に関して動きがあった。

 まず、GPS補完などの機能をもった準天頂衛星(QZSS)の愛称募集が開始された。

 NASDAの法則に従って、愛称は一般公募により選ばれる。選ばれた名前を投稿した人全員に命名証の発送と、抽選で1組2名を打ち上げ時に種子島へ招待というのも、今までの愛称募集と変わらず。たぶん、旧NASDA系の命名はこの方式で続けられるだろうなぁ。

 もう1つは、金星探査機PLANET-Cだ。

 個人的にびっくりな『打ち上げ前に愛称発表』したのである。いままでだってそうだったといわれるかもしれないが、PLANET-Cは宇宙科学研究本部(ISAS)の探査機だ。打ち上げが成功してからの愛称発表が伝統だったのだから、まったくノーチェック。
 その愛称は「あかつき」。あかつきの明星とは金星のことなので、募集してもそうなった気がしなくもないですな。

 きになることが、今回は『愛称』ということ。正式名なのかはリリースだけでは伝わってこない。NORADなどの情報に出るのが正式名という感じだと思ってもらえればいいが、正式に名前を決めるのは結構制約があるので、なかなか難しいみたいだ。宇宙電波天文衛星の『はるか(MUSES-B)』は、Highly Advanced Laboratory for Communications and Astronomy.という具合にあとから英語をでっちあげているのである。これが必須なので、正式名と愛称の差は大きいのです。

 どちらの衛星も打ち上げは来年度。少なくとも来年度は今年と同じだけ見学チャンスはありそうですな。


それでも地球は回っている―近代以前の天文学史それでも地球は回っている―近代以前の天文学史
(2009/06/12)
青木 満

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プロフィール

Author:おかざー
"馬車道Groove."代表らしい。
宇宙関連の同人誌を出したり、打上げや施設見学いったりしてます。

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