宇宙関連巡礼の旅 - Weblog版 - 2010年07月

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やっぱり出たか『はやぶさ捏造論』

 成果が大きい宇宙探査には、捏造説が必ず出てくる。アポロ11号以降の月面着陸が捏造だという、Moon hoax説は有名なところだ。

 今回、「はやぶさ(MUSES-C)」も捏造説が出たことで、ビックプロジェクトの仲間入りをしたという意味では、宇宙探査史に残る偉業だったということだろう。

 まぁ、内容に関してはどーでもいい。ちょっと調べればわかることを、自分の知識だけでは理解できないから、なにかと理由をつけて捏造にしようとしているだけだ。

 いつもこの手の捏造説に抜けていることがある。『そんだけの捏造をするのに、いくら予算が必要なんだよ』と。「はやぶさ(MUSES-C)」の総予算よりも、捏造し、今後それを隠し続けるコストを計算したことがあるのか、と。
 JAXAは全世界を騙さなければならないのだから、地球規模での捏造と口封じが必要だ。だが、やろうと思えば、どこの宇宙機関だって「はやぶさ(MUSES-C)」の位置と、そこから出される電波くらい分かる。捏造だとすると、そういうところから騙す必要があり、それを口封じさせるのにどれだけの労力とコストがかかるのか、口封じしなければいけない人間はどれくらいの規模なのか、ちょっと考えれば不可能だってことくらいすぐにわかるだろうに。
 だいたい、NASAやESAだけじゃなく、中国も含まれるわけである。中国は独自に進めている部分が多く、そんな機関が捏造に加担するだろうか。だいたい捏造していたら、韓国が黙っているとも思えないでしょ。
 旧ソ連は捏造というよりも、失敗したことを隠し、成功したことだけ発表して技術力の高さを謳ったので、ちょっと事情が違う。さすがに捏造したところでNASAやCIAに隠せるわけないしな。

 捏造するくらいなら、実際にやったほうが予算もかからないし、捏造し続けるより簡単なんだよ。
 もう一回月に行けというが、予算くれればNASAは喜んでいくよ。
 日本だって、予算が出ればやるよ。そんなもんだ。

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はやぶさ2は飛び立てるのか

 この3連休、テレビなどのメディアでは『はやぶさ(MUSES-C)』関連の放送がいくつかあった。いままでの経験上、運用が終わった衛星や探査機がここまで報道され続けるというのは記憶にない。『かぐや(SELENE)』にしても、企業間で応援団を結成した割には収束は早かったからだ。
 なぜここまで『はやぶさ(MUSES-C)』は人を惹きつけるのだろうか。そんな視点での番組構成が多いのも特徴であり、これを機会に宇宙に目を向けた人がいかに多かったのかを知るにはちょうどいい機会にはなっただろう。

 どこの番組でも『はやぶさ(MUSES-C)』後継機の話が最後に出てくる。事業仕分けで予算ぬんぬんというのもついて回るわけだが…。

 先日、イプシロンロケットと同じ日に『はやぶさ2プロジェクトについて』という内容で宇宙開発委員会に書類が提出された。いままでアナウンスされてきた内容と変わらないが、この時期に提案されたということの意味は大きいと思う。

 ただし、『はやぶさ2』は"研究開発段階に移行したい"という内容である。これは、基本的な設計は終わったので、実物を作る前の研究に移行したいのでお願いします、ということだ。同日に提出された『イプシロンロケット(次期固体ロケット)』は"研究開発段階が終わったので実際に作らせて欲しい"という内容であるから、まだ実際に製造できるかという話ではないことに注意したい。

 新聞各社、予算に関してはH-IIA込みで270億円という数字が出ている。おおさっぱに言えば、探査機170億円、H-IIA100億円だ。ちなみに、M-Vは64億円くらいですが。
 H-IIAの打ち上げ価格は今まで三菱重工が発表したことはなく、想像と伝え聞くところによると100億円くらい、というような感じだったのだが、今回明確に報道されたことでだいたい合っていたというオマケまで付いた。
 
 JAXA内部での順位争いに負けつつあった状況から、"9回裏2死満塁で打球を打ち返した"ところまで戻してきた。これがホームランになるのかファールになるのか、はたまた平凡なフライでアウトになるのか、まだまだ微妙なところではあるのだが、とにかく、今までの状況から考えればずいぶんと進展したと考えていいだろう。このまま無事に審査を通過して欲しいものだ。

 ところで、『はやぶさ2』の開発コードはどうなるのだろうか。
 MUSESシリーズは工学試験機の開発コードであるので、次は使わない。惑星探査にはPLANETという開発コードがあるが、小惑星探査はPLANETでいいのだろうか。確かに小惑星には"Planetoid"という単語もあるのでPLANETになるが、どちらかというと"Asteroid"のほうが馴染んでいる。しかし、宇宙研の衛星にはASTROシリーズもあるので間違えやすそうな気がする。
 となると、原始天体="Primitive Body"だからPRIMシリーズとかになるのだろうか。細かいことだけど、ちょっと気になる。


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次期固体ロケット『イプシロン』開発へ移行間近


©JAXA / ISAS
 先日、宇宙開発委員会に『イプシロンロケットプロジェクトについて』という報告が上がった。この審議を通過すれば、やっと「開発」へのGoサインが出されたということになる。

 次期固体ロケット、イプシロン(仮)も、提出された書類によれば正式名称とすることが明記されており、今後は名実とも"イプシロンロケット"と呼ぶことになっていく。次期ではなく「現行」となるのも、もうすぐだ。

この書類を見ると、イプシロンロケットの目的がよくわかるだろう。固体技術の継承も重要だか、H-IIA系ではできないことをやろうという意気込みが感じられる。小さいからこその工夫と、新たな"固体燃料ロケット伝説"に向かって進むには、これくらい高い目標があったほうがいい。

諸元の変化をまとめてみると…
項目 2008年 2009年 今回
全長 約24m
直径 2.5m
全備重量 約92ton
LEO投入 約1200kg
SSO投入 約600kg 約420kg 約450kg
打上コスト 25?30億円 約30億円 -
開発費 200億円(目標) -
打上年度 2012年度 2013年度
射場 - 内之浦(TBD) -
 大きく変更があった部分としては、打ち上げ年度だろう。当初目標であった2012年度から1年遅れの2013年度になっている。これは開発準備が伸びたということよりも、開発にGoサインをだしてもらうまでに時間がかかりすぎたために2012年度の打ち上げには間に合わないということだろう。幸いにして、今のところ決まっている小型衛星は地球周回型なので、深宇宙探査に比べたらシビアではない。衛星担当者にとっては残念だろうけど…。

 あとは、SSO(太陽同期軌道)投入能力が若干上がっていること。これはキックステージ(3段目)に固体燃料ではなく新型の小型液体推進系を使うことが前提となっている。宇宙研ロケットの思想として、打ち上げ後の軌道精度は衛星・探査機側のスラスタ等で修正することが前提となっていたのだが、イプシロンでは、打ち上げ精度もある程度までロケット側で面倒を見ようということだろう。
 よく固体燃料ロケットは打ち上げ精度に欠けると言うが、宇宙研のM-Vに至っては他の国が達成できないほどの高精度軌道投入を可能としている。だからからこそ、衛星・探査機側のスラスタ等での軌道修正で間に合わせることができるわけですがね。

 あとは射場だ。今回はイプシロン本体の開発へのGoをお伺いしているわけなので、射場までは書かれていない。射場問題に関しては、以前のエントリでも書いたとおりであって、まだまだどうなるか不明な点が多い。鹿児島県としては内之浦案を推進しているが、種子島はそうではないということだろう。このへん、種子島だけなのか南種子町だけなのかは不明だが、県としては内之浦(肝属郡)への経済効果も考えてのことだろう。
 実は2013年度への延期は射場問題もあるかもしれないなぁ…。本当に年内に結論出せるのだろうか。

 とにかく、開発へのGoサインが出るまでもう少しだ。ひさびさの新型固体燃料ロケットに期待しつつ推移を見守っていこう。


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S-520-25号機の打ち上げ日程は?

 年に2回のロケット打ち上げ季節になってきた7月ですが、H-IIA/F18の他には観測ロケットであるS-520-25号機が予定されているのみです。
 そのS-520-25号機も本来ならば昨年に打ち上げが予定されていたものが、観測機器の遅れで1年延期になっているもので、実際にこの夏に打ち上げが実施されるのか不明な点があったのですが、NOTAM(高級上方の一種)に日程が掲載されたことから、どうやら実施される見込みとなったようです。

機種 : S-520-25
打上げ予定日 : 平成22 年7 月28 日から同年9 月30 日の間
打上げ予定時間 : 0445JST から0550JST の間
AIPSUP08810.jpg

 とはいっても、去年同様にNOTAMが発表されており、今回発表されたデーターは去年とほぼ同一です。日時だけが変更になっていますが、かなり余裕のある期間となっているのはH-IIA/F18との兼ね合いだったのだろうと予測できます。しかし、H-IIA/F18はご存知のように延期となっていますので、いつのタイミングで打ち上げが行われるのか少々不明な部分はあります。
 打ち上げ場所である内之浦宇宙空間観測所では「打ち上げの1週間前に機材その他もろもろが揃えば問題ない」とのことです。例によってJAXAの公式発表は打ち上げ直前でしょうから、今後出されるであろう水路情報も見ながら予定を確保できるように動ければいいかなぁ、と。なんか転職してるので、休めない公算が大きいのですがね…。


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七夕


 今日は7月7日。初めて内之浦宇宙空間観測所(USC)に行ったとき、ちょうど季節的には今頃だった。

 夜、なにげに空を見上げてみると、雲というか霞が所々にあり、その隙間から星が綺麗に輝いているのが見えた。だが、何か違和感がある。霞というか雲というには、何かが違うのだ。
 これはひょっとしたら天の川なんじゃないか。そう気がついた途端、壮大な天体ショーを見ていることに驚く。実際に肉眼でこんなに綺麗な天の川を見たことが無かったので、未だにその記憶は鮮明に覚えている。
 それからUSCへ行く時は、必ず夜中に星空を楽しむということが加わったのだが、なかなか好天に恵まれないので、最初のときのような星空を見れたことは1回しかないのだが。

 今日の昼間、昼休みにMyノートPCで松浦晋也さんのBlogを読む。M-Vの振動について書いてあるエントリーだ。

 それを読んで、急に思い出したことがある。
 昔、ひとりでぼーっとM台地に座ってM発射塔を眺めていた。仕事が行き詰まったりしたとき、よくふらっとUSCに行っていた時期があったのだ。時期としてはM-Vの廃止が決まって最初の夏だったと思う。そのとき、中の人なのか出入業者なのか今となっては判らないのだが、1時間ほど話をしてくれた方がいた。

 その人は『とにかくM台地に穴掘って煙道を作るんだ』と言った。まだ次期固体ロケットという名前がぼんやりしていた時期なので、とにかくその理由を聞いてみた。
 『点火時の噴射での振動がすごいんだよ。そいつのせいで衛星が厳しくなるんだ。だから、とにかく穴だけは掘ってしまえということだよ』と。最初、それはM-V本体の話かと思っていた。詳しく聞きなおしてみると『点火時に吹き出したガスが反射板に当たったときの衝撃波がロケットを襲うだろ、それがすごい振動で、積んである衛星や機器類を揺さぶるんだ。それを減らしたいから掘らなきゃならないんだ』と。

 その後、未だに射場すら決まっていない。はたして"掘らなきゃいけない"煙道は造られるのだろうか。そもそもUSCに射場が決まるのだろうか…。


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種子島宇宙センター塩害の話

 そもそも、あんな海っぺりに作っておいて塩害被害云々って、それは当たり前ではないのか。

 新聞記事によれば、種子島宇宙センター(TNSC)で塩害被害が相当深刻な問題という報道がされている。でも、よく考えて欲しい。あんな位置に作ったらどうなるかなんて、設計どころか誘致した段階で判っていることではないのか、と。

 種子島の宇宙開発はN-Iから始まり、次々とH-IIA/Bまで駆け抜けた。その間、ロケット機体のバージョンがあがれば、射場設備もそれに合わせて大改修を行っていたのだから、塩害が深刻になる前に改修できていたわけだ。今回、H-IIA/Bで初めて長期運用になったことで、今まで大改修に助けられてきた更新作業が露呈しただけじゃないのか、と思う。

 塩害は日本では非常にポピュラーだ。沿岸部に住む人は車の下回りにサビ止め加工をすることが多いのも、そのためだ。ましてや、南国特有の湿度と海岸線にせり出すような位置に建設しているのだから、被害は想定内で済まさなければならないことではないのだろうか。

 昨年、H-IIBの打ち上げ見学でTNSCに向かい、VBAをロケットの丘から撮影した。その時の感じではさほど塩害が出ているという感じはしなかったが、何分距離がありすぎるので細部まではわからない。J-Iの大崎射点は整備されずに放置してあるだけあって、ひと目で状況がわかる。まぁ、これはもう放置と決め込んだのだから当然といえば当然ではあるのだが…。旧NASDAの施設であり、"高コスト"で有名なTNSCなので、塩害に対しても相当額使っていると思ったのだが、実際はそうでもなかったようだ。

 なにもこのことは種子島だけの問題じゃない。内之浦宇宙空間観測所(USC)は"とっくの昔に"始まっていたのである。まぁ、USCの場合は、塩害だけではなく『老朽化』という根本的な問題もあるのだが、「雨漏りがするので機器類を端っこに寄せてビニールカバーをかける」という話が事実ということを、笑っている場合ではないだろう。

543509_2999393651.jpg

 M台地にある「M組立棟」の写真がこれ。近年の撮影ではなく、M-V-7号機打ち上げ直前の6月に撮影したものだ。屋上のブルーシートがあるが、これは雨漏り工事中だという。打ち上げオペレーションが開始され、M台地への一般人立ち入りが規制されている時期でも、補修しないと組み立て工程に影響がでる可能性があったということだろう。まぁ、USCは旧ISAS時代からこんな感じで、地上設備に金をかけるなら探査機やロケットに予算を突っ込む傾向にあった。それでも自分たちの予算で行っていたことなので、現在の予算獲得に比べればまだ納得できる部分が多かったという。

 固体燃料の詰まったロケット本体を保管する「推薬庫」では、"侵入者警報が鳴ったので確認しにいったらカニが感電死してた"という話も聞くほどに、どこかに穴が開いてても不思議じゃない状況だ。探査機を保管するクリーンルームにヘビが出たなんて話も聞いたなぁ。

 話をTNSCに戻すと、塩害は今更始まった話じゃない。どうも「わざとこの時期に話題にした」としか思えない。そう、"次期固体ロケット射場問題"だ。

 種子島に集約したい派の動きが活発になっているのは現状疑いの余地がない。ここで「現役のH-IIA/Bの射場を更新する」という予算を獲得したいのは理解できる。なにせ国際公約などが絡んでくる以上、H-IIA/Bの設備は維持しなければならないからだ。これについては同意する。だが、ここにどうも裏があるように感じる。
 穿った考え方が許されるのならば、"改修するなら次期固体も打ち上げられるように改造したほうがUSCに作るよりトータルで安くなりますよ"というアピールなんじゃないか、と。そう、J-Iの大崎射点ではなく、吉信射点で行うようにしてしまえ、ということだ。
 確かに次期固体ロケットはH-IIA/Bに比べたら小さいからVBA自体を建て替える必要はない。どちらかというと小さいことが問題ではなく"既存の設備との融合性は限りなく低い"ことが重要であり、もし種子島で吉信射点となれば『大改修しないと使えない』という大義名分が手に入るわけだ。トータルコストとしても安くなるだろうから、このセールストークは何かと効いてくるだろう。

 だが、本当に安くなるのか。次期固体ロケットの射場案を見る限り、USCでも既存設備を最大限に活用し、最低限の改修と予算で射場整備を行うとしている。最初期の案では、現存しているM発射設備のランチャーを改造してM発射塔までも再利用する案があったくらいだ。それを破棄して新規に作る案になっていることから、予算的には改造よりも安いということだろう。
 かたやTNSCではどうか。大型ロケット組立棟(VBA)もH-II時代からH-IIAに合わせて大改造増築が行われているが、左右で扱えるH-IIA/Bの仕様が異なる。さらに、VBAから射点1,2への移動は、ドーリーを使って運ぶので、こちらも改修が必要だ。もっというと、H-IIA/Bと次期固体ロケットは制御信号が異なるため、そちらも改修しなければならないだろう。とにかく、共通点が見当たらないくらい違いが大きいのだ。

 よくいう言葉に「下手な改造は新造するよりも高く付く」というのがある。次期固体ロケットとH-IIA/Bのハイブリッドにするよりも、おのおの独立させたほうが安価で確実で効率のいい射場が出来上がることは明白ではないだろうか。

 それに射場は複数運用が望ましい。なにもかも一極集中だけが効率化につながると考えるのはよろしくない。

 そう考えると、やはりJAXAへの統合は間違いではなかったのだろうか。競争する企業(組織)があるからこそ、競争原理が働いてコストも技術も切磋琢磨して向上していくのではないだろうか。
 すでに旧ISASの「よき時代」は崩壊した、いや、崩壊させられてしまった。だが、まだ遅くはない。JAXAから旧NASDAと旧ISAS/旧NALの分野で再度分割したらどうだ。旧ISAS時代の予算規模は200億円だ。旧NALを合わせても300億円もあればいいだろう。その予算では厳しい現状があるのも分かってはいるが、対抗馬として1/10の予算で同じような成果を出したとしたら、それはもう『勝ち=価値』なのだから。


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内之浦か種子島か(3)

©JAXA

 昨日の続きで、内之浦宇宙空間観測所(以下、USC)と種子島宇宙センター(以下、TNSC)のどっちにするの、射場問題です。

 どうも気になっているのが『コストがかかるからTNSC』というくだりだ。
 射場整備に関しては、どちらもそんなに変わらないだろう。USCにしてもTNSCにしても既存設備では対応できないので新設するしかない。TNSCは平地だから云々とはいうけれど、島までの運送費はどうなのだろうか。それに、TNSCは"高コストな射場"とも言われている。
 他にも気になるコストとすれば、"固体燃料を詰める工程"だ。M-VやSRBの時は日油(旧・日本油脂、日産コンツェルン系企業)の武豊工場で詰めたのを運搬した。SRB-Aの際に分割輸送ができない仕様になったので、TNSC内に日油が工場を作ってそこで充填することになった。この時点でM-Vはまだ現役だったので武豊工場でも充填も行っていた。正確には、1段目と3段目は武豊、2段目は種子島で充填していたので、今までだって輸送してたわけだ。現在はM-Vの運用は行われていないので、武豊の充填工場を再度可動させるよりも、既存の工場を使ったほうがコストは安くなる。コストには工場設備の維持費も含まれるわけで、単純な運搬費用だけを見てコストが云々というのは違う。維持費も含めての費用がTNSCで充填し運搬した費用よりも安くなるのならば、運搬するほうを選ぶだろう。

 ロケットの調達コストだけではなく、射場に関する人員も含めた場合も考えなければならないだろう。肌感覚でしかないが、TNSCのほうが射場要員ははるかに多い気がする。USCの場合は、安全係数の関係で避難をしなければいけない住民がいるが、その人たちはロケットと暮らして50年な古強者だ。避難することには慣れているし、臨時雇用で職を得ている人までいる。一概に避難することだけを取り上げるのもどうかと思う。

 あとは政治の問題。大隅半島出身の政治家はいるが種子島の政治家はいない、と。ならばいう、種子島出身の政治家を輩出し、宇宙関連予算を取ってくるようにしたらどうだ。ただし、それは今まで批判してきた道路族や航空族と何も変わらない"宇宙族"を作るとこと変わらないぞ。少なくとも批判しているのならば、その方法論を語るべきではない。

 タイミングも実に微妙だ。「GXが中止になったら種が次期固体を奪いにくるのではないか」という懸念があったのだが、まさにそんな気がしてしまう。「GXはこっちだから、次期固体は内之浦でいいんじゃない」という話も聞いたことがある。それがGX中止と運用会社の特別清算開始と進むに連れて、この話が大きく出てきた気がしてならない。そうでなければ、「次期固体ロケットはGXのこと」などという、勘違いとは思えない言い分をしてこないだろう。

 個人的な結論だが、私は内之浦射場を推す。一番の理由は「射場は複数箇所での分散運用が望ましい」ということだ。種子島には種子島にしかできないこともあるだろうが、内之浦には内之浦にしかできないこともある。
 JAXAに統合されてからのUSC内の変貌ぶりには正直残念だ。組織図を見るとわかるように、USCはTNSCの配下なのだ。文化も運用方法も違う施設に対してどのようなことを行ってきたのか。文化を破壊してきたのかも考えてほしい。

 はっきりいいますが、私は内之浦びいきです。
種子島は打ち上げの時は行ってもいいかな、ですが、内之浦は打ち上げが無くても行きたい場所です。
そこに、固体燃料ロケットが戻ってくることを願っています。
伝え聞くところにによると、結論は今年末までかかるのではないか、という。いくらなんでも工期が短すぎる。早く結論を出すべきだと思う。

充填作業に関する記述がある議事録


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内之浦か種子島か(2)

©JAXA

 昨日の続きで、内之浦宇宙空間観測所(以下、USC)と種子島宇宙センター(以下、TNSC)のどっちにするの、射場問題です。

 まず、種子島側の言い分をよく読んでみると、TNSCの一極集中論になっている。
 打ち上げ射場は少なくとも2ヶ所以上に分散させることが望ましい。できれば打ち上げロケットの種類ごとに分離独立運用させるのが理想である。
これは、万が一ロケットが運用できない自体に陥った場合(地上爆発とか)に、他のロケットに影響を与えないためには、射場を複数運用しておくことが望ましいという考えであり、日本では旧NASDAの射場であったTNSCと旧ISASの射場であったUSC(当時は鹿児島宇宙空間観測所、KSC)の2ヶ所あるので、新しく作るというよりは、そこを有効に活用してリス分散をしていこうと考えるのが自然な流れだ。

 現在TNSCではH-IIAとH-IIBの打ち上げが行われている。一方USCではS-310やS-520の観測ロケットの打ち上げが行われている。もともとUSCはM-Vの射場であったので、廃止決定以降、衛星打ち上げロケットの運用はされていない。
 次期固体ロケットはM-Vの後継であるというのは、プロジェクトマネージャーの森田泰弘氏の発言で確認されている。M-Vの後継、全段固体ロケット、ISAS衛星とくれば、必然的に射場はUSCであろうという流れになっても不思議ではない。
 一方、TNSCはJ-1以降中型ロケット射場が未使用のまま放置されている。こちらは、事業断念したGXロケットの射場になる予定だったものだ。

 USCで打ち上げたらTNSCよりもコストがかかる、それを実行するためのインフラ整備にも金がかかる、というのもどうなのだろうか。
TNSC内の充填設備から島間港までの搬出入ルートを整備する必要があるということなのだろうが、橋など架け替える必要はない。内之浦では橋の上に鉄板の補強橋を設置して通過させている。その程度でいいのだ。日通さんが鉄道車両を運搬するときだって、道路に鉄板を設置するなどして運ぶのだから、年に1,2回しか行われないことに、なにも土木工事を行う必要はないのだ。
 火薬類の運搬に関して調べてみたが、以前言われていた"総量いくら以上は運搬不可"という項目は見当たらなくなっている。数年ごとに改定されており、削除された項目もあるので、どこかしらの段階で削除されたのだろう。M-Vの設計時にはあったはずなので、ここ数年というところか。道路幅に関しても"困難な場合はこの限りではない"と明記されているので、運搬問題はクリアされたという発言はここらへんの改定が行われたことでの発言と見て間違いなさそうだ。
 運搬する物体の大きさにも誤認識がある。H-IIAの空箱の大きさで語られているが、あんなに大きくありません。IHIエアロスペースが持ち込むSRB-Aのコンテナは一般国道をスイスイ走っていきます。私の自宅前の国道でも見ているんですから、問題ありません。
 さらに、固体燃料のことをわかっていない。火薬といっても、コンポジット燃料は"点火させるのが難しい"と言われる部類の火薬であり、花火やダイナマイトと同じと思っている感じがする。確かに事故が発生すれば大変だが、日通さん、そんなヘマしません。
 地元に対する運搬説明がない、といいますが本当でしょうか。毎年毎年打ち上げがある地域で、事前説明がないというのは信じられません。まして、漁業問題でこっぴどくやられた経験があるISASです。そのへんは抜かりなくやっているはずです。それに、今までだって運搬してたでしょうに。
 これは記憶違いかもしれないですが、TNSC内の充填設備付近に船積できる港を作るという話も聞いた気がしますが、もしそうだとしたら運搬に関する話は出ないでしょうなぁ。

 さらに、去年の陳情書。USCでの次期固体ロケット打ち上げの陳情文になっているそうだが、"次期固体ロケットとは開発中のGXロケットを指す"と明言されている。まてまてGXは最初から"固体ロケット"ではないぞ。だから去年の陳情書だろうが今年だろうが、次期固体ロケットといえば"イプシロン"のことを指すのだよ。

 さらにさらに、調査の結果"USC有利と言っていた打ち上げ能力の差はほとんどないことが判明した"という。ならば根拠資料を提示してほしい。どのような計算を行ったのか、どういう考察をしたのかが気になるところであり、そこから間違っている可能性もある。もちろん正しい可能性もあるのだが、どちらにせよ開示してくれないと判断できない。

 あと、モバイル管制についての誤認識。パソコン1台で遠距離から管制できるということだが、これはどちらかというと比喩に近い。実際は射場点検などの人員が必要だし、何かあった場合のことを考えると、今まで通りにブロックハウス内で管制を行う。ただ、そのブロックハウス内の機器がパソコン数台でまかなえるようになるよ、ということであり"理論的にはネット回線を使って管制できる"だけである。

他にも色々とあるが、結局のところTNSCでの打ち上げたいだけで理論を展開しているような感じがする。

長くなったので、また次のエントリに続きます。

※肝心なそのBlogはこちら
※火薬類取締法
※火薬類の運搬に関する内閣府令


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内之浦か種子島か (1)

©JAXA

 次期固体ロケットの射場問題が、ここにきて多少露出してきた感が出てきた。火種は1つ前のエントリーで書いた、『「次期ロケット 内之浦に」 宇宙開発促進協総会 国に打ち上げ要望へ』という南日本新聞の記事である。

 最初に感じることは、「なんだ、まだ正式決定してないのか」ということだろう。予算の都合上、概算要求が認められた段階で発表するのではないかと思っていたのだが、どうもそういうタイミングだけの問題ではなさそうな雰囲気のようだ。

 そんな南日本新聞の記事に対して、反論があった。どうもこの方は南種子町ではそこそこの人で、少なくとも種子島宇宙センター(以下、TNSC)のことに関して南種子町の意見を伝えていることは間違いないと思われるし、その発言に関しては、ほぼほぼ南種子町側の意見であると考えていいだろう。

 内之浦宇宙空間観測所(以下、USC)を第一候補に考えているという発言は、JAXA/ISAS内からも聞こえているし、宇宙開発委員会でも度々話題になっていることから、そのこと自体は間違いはないと思われる。ただ、現在もまだ正式前であり、"国に要望する"段階であるという事実もある。

 まず前提条件というか、根底にある次期固体ロケット(イプシロン)の動きは、なかなか定まらなかった。やっと2010年度から正式プロジェクトとなり開発がスタートしている。初号機打ち上げ目標は2012年度。それを考えれば、射場に関しても正式決定していなければならない時期にはなっている、というか、むしろ遅いくらいだ。
 その次期固体ロケットの審議中に、しばしば「射場はUSCを第一候補に…」という言い回しが登場している。2007年以降の宇宙開発委員会でも登場していることから、この意見はISAS次期固体ロケットチームからの考えというよりは、JAXAとしての意見という意味合いになるだろう。宇宙開発委員会での発言は、議事録として公開されているので、いち部署の意見だけで発言するのは危険な場所だからだ。
 その後、次期固体ロケットチームリーダーの森田泰弘氏の発表による"USCとTNSCの衛星軌道投入能力"の数値データーや"内之浦港?USC間の輸送問題"の解決などによって、USC案で進行しているように取れる事象が続いていた。さらに、SRB-Aと同じ重量、大きさのダミーをTNSC内からUSCへ実際に輸送する実験も行われ(手違いで内之浦港ではなく鹿児島港からの輸送になってしまったが…)、出水旅館前にある電柱のクリアランス不足以外の問題点は全てクリアしたという報告もある。出水旅館前電柱に関しても、輸送時だけなのか移設なのかの結論は出ていないが少なくとも輸送時には撤去されるということで、こちらもクリアしたとのことだ。これには危険物の輸送などの諸条件も含まれているので、法律的にもインフラ的にも問題ないと判断できたということと解釈できる。
 ここまで準備も実地調査も行われ、USCのある肝属郡肝付町からも特に反対意見も聞かれないことからほぼ決まりだと思っていたところ、今回の反対意見を見つけた次第。しかも、ある程度の役職にある方の発言であるのだから、どうなってんの、と。

 汚い言葉で申し訳ないのですが、簡単にうと『種で作ったんだから種で打て』ということだ。色々と要点を挙げて説明しているのだが、気になっている部分はそんなところではなく、JAXAとして一切説明していないのではないかという疑問点が湧いてくることでしかない。ISASというか次期固体ロケットチームの発表を見る限り関係各所との連絡は密にしている気がするので、ここの矛盾点も気になる。

 話が長くなりそうなので、次のエントリーに続きます。


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プロフィール

Author:おかざー
"馬車道Groove."代表らしい。
宇宙関連の同人誌を出したり、打上げや施設見学いったりしてます。

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